私を開眼させた漢文の本

 おはようございます。誰でも、大きな影響を受けた人物や本との出会いはあると思います。私にもそれはあります。特にある漢文の本との出会いは、私の漢文のイメージを変えました。今回は、そのことを書きたいと思います。
 私が漢文を勉強していく過程で、高校の漢文は精密に訓読する方法に欠けていることをずっと感じていました。当時は、『漢文の基本ノート』(日栄社)や『漢文ミニマム攻略法』(旺文社)がわかりやすい参考書として売れていました。これらの本も、精密な訓読については触れてはいませんでした。なんだか、覚えることしか書いていないのです。この路線で現在、一番漢文の参考書として売り上げのある『漢文・早覚え即答法』(学研)も書かれています。
 しかし、このような棒暗記型の、公文式のような参考書だと応用力がつかないので、あくまで直前の確認でしか使えない特徴があります。せめて、しっかりと精密な訓読の理論が書いてあるものはないかと思っていました。その状態で、大学生になりましたが、大学の漢文の講義では思想的な事柄が中心で、訓読についてはパターンで訓読することしか教わりませんでした。どことなく、ぼんやりしたものが残ったまま、塾などで講義をするようになりました。
 そのような中でふと出会った本が、『中野式・漢文なりほど上達法』(ライオン社)でした。この本は、薄い本なのですが、なぜそのような訓読が成り立つのかが述べられていました。まさに「目から鱗」で、この本との出会いが、私の漢文の授業スタイルに大きな影響を及ぼすことになりました。この本は、いまでも書店においてありますので、よかったら読んでみてください。しっかりした訓読の考え方が身につく読み物です。この『中野式・漢文なるほど上達法』(ライオン社)は、私の宝物のような存在で、繰り返し読みながら、ノートにまとめました。今でもボロボロですが、私の書棚においてあります。