新釈現代文

「新釈現代文」
 元成城大学教授の高田瑞穂氏の『新釈現代文』は、出版社の「新塔社」が倒産してからは、書店から姿を消していましたが、このほど「ちくま学芸文庫」から出版されました。高田瑞穂の弟子にあたる石原千秋が紹介したため、再び注目されたのだと思います。教養としての大学入試国語という路線を高田瑞穂も石原千秋も守っています。ただし、高田瑞穂よりも石原千秋の方が現代に合わせているので、利用価値が高いと思います。そのような視点で、高田瑞穂と石原千秋の本を読むとよいのではないでしょうか。
 私の受験の頃には、『新釈現代文』が『田村の現代文講義』(代々木ライブラリー)に駆逐されてきた時代でした。『田村の現代文講義』のほうが、点数の取り方を教えてくれる本でした。これは、ちょうど「ソフト・カバー」が「ハード・カバー」を駆逐した時代といっても過言ではありません。昔のハード・カバーのほうが、電車の中でも書き込みしやすくて私は気にいっていたのですが、みなさんはどうでしょうか。学習参考書も軽薄なものが目立ちますが、じっくりと読むと味わいのあるハードカバーもよいものです。