自発の解釈

自発の解釈

自発の解釈を見ると、古文文法教育では、「自然と〜」という口語訳が一番多く使われているようである。しかし、自発とは自然に行われることである。それを「自然と〜」と口語訳したのでは、いかにも不自然ではないだろうか。主に古語辞典や別記(教授資料)を見て、どのように解釈をしているのかをまとめてみると、次のようになる。

自然と−れる
つい−れる
−せずにはいられない(−しないではいられない)
ふと−
思わず−てしまう

この中で注目したいのは、「−せずにはいられない(−しないではいられない)」という口語訳である。意志と関わりなく、動作が行われたり、進行したりするのを示すのに、たいへんすぐれていると思われる。例えば、「泣かる」「笑はる」「思はる」を、「自然と泣けてくる」「自然と笑う」「自然と思われる」とするよりも、「泣かずにはいられない」「笑わずにはいられない」「思わずにはいられない」の方がぴったりとする。したがって、古文文法教育でも、現代語のことばのセンスを磨く観点からも、「−せずにはいられない」という口語訳を第一として説明するようにし、その口語訳でうまくいかないときは、他の自発の解釈を適応することを主張したい。