句読点の活用
【句読点の活用法について】
A句読点の活用法について
1.句読点の使用・・江戸時代ごろから
2.句読点の機能
a.休止の機能
b.論理の明確化
3.句読点の研究・・権田直助『国文句読考』(主に文語文に適応させたもの)
a.明治39年2月の文部省大臣官房調査課草案の「句読法(案)」・・文語文
b.昭和21年3月の文部省国語調査室編「くぎり符号の使い方(句読法)(案)」・・現代口語文(官公庁や学校の教科書ではこのルールで統一)
※「新聞」「雑誌」などの一般のものでは、自由に用いられ、個人によって好みも反映される。「わたしの好みでいへば、句読点なしでもすらすら読める文章に、ところどころ、筆者の親切として句読点がついてゐる、といふ感じの書き方が好きです。」(丸谷才一)
4.句読点の傾向
a.一般的に学者の書いた文章は句読点が多くなる傾向
b.息継ぎにあたる部分に読点を打ちたくなる傾向(肺活量とも関係するといわれている)
B文部省国語調査室編の句読点の使い方
?「。」(マル)〔句点〕の使い方
1マルは文の終止にうつ。正序・倒置・述語省略など、その他、すべての文の終止にうつ。
(例)春が来た。出た、出た、月が。どうぞ、こちらへ。
2「 」(カギ)の中でも終止にうつ。(省略してもよい)
(例)「どちらへ。」「上野まで。」
3引用語にはうたない。
(例)これが有名な「月光の曲」です。
4引用語の内容が文の形式をなしていても簡単なものには、うたない。
(例)「気をつけ」の姿勢でジーット注目する。
5文の終止で、カッコをへだててうつことがある。
(例)このことは、すでに第三章で説明した(五七頁参照)。
6付記的な一節を全部カッコでかこむ場合には、もちろんその中にマルが入る。
(例)それには応永三年云々の識語がある。(この識語のことについては後に詳しく述べる。)
?「、」(テン)〔読点〕の使い方
1文の主語・主題となる語が長いとき、その後ろに。
昨夜から降り始めた雨が、昼過ぎにやんだ。
2引用を示す「と」の前に(引用かっこの代用)
こんな経験は初めてだ、と彼は驚いた。
3接続詞・逆接の助詞の後ろに。
しかし、その意見には素直に同意できない。
空はきれいに晴れたが、気温は低い。
4原因・理由・条件などを表す節の後ろに。
人間が奥地まで開発したので、野性生物が激減してしまった。
その花が近づくと、甘い香りがただよってきた。
5時を表す言葉の後ろに。
8月15日、長い戦争が終わった。
今朝、彼からの電話で起こされた。
6名詞や動詞に修飾語が二つ以上つくとき、それぞれの間に。
それは、江戸時代の、神保町で見つけた、貴重な地図です。
文字は、楷書で、きちんと、読みやすいように書こう。
7文・節・句・語などを並列に並べるとき、それぞれの間に。
その地方はよい水がわき、うまい米がとれ、酒造業が栄えた。
人は思想、信条、信仰によって差別されてはならない。
8言い換えや説明のとき、その間に。(「つまり」「すなわち」と同意)
下町の風物詩、入谷の朝顔市に人が殺到した。
9挿入句のあるとき、その前後に。
この地方は、ただし山間の一部地域を除くが、豊かな土壌に恵まれている。
10強調するとき、強調語句の後ろに。
彼が、それを成功させたのです。
ストップさせよう、交通事故死を。(倒置文)
11独立語の後ろに。(呼びかけ・応答・驚嘆などの言葉)
やあ、お元気? ええ、まあなんとかやっています。
12格助詞を省略したとき、その後ろに。
うれしい便り、あったんです。(主格「が」を省略)
えらい難問、抱え込んでしまった。(目的格「を」を省略)
13読みを区切らせたいとき、区切らせるところに。
おぎゃあ、おぎゃあ、元気な赤ちゃんが生まれた。(鳴き声)
そこのあなた、どうしました?(人への呼びかけ)
ひとつ、ふたつ、みっつ、数が増えるにつれ~。(数を表す言葉)
にしん来たかと、かもめに問えば、あたしゃ立つ鳥、~。(歌詞の区切り)
14仮名が続いて読みにくいとき、分割するところに。
ここで、はきものを脱いでください。(ここでは、きものを脱いでください。)
15「と」「に」「や」
a○と○、○、○
山本と佐藤、田中、石井
b○や○、○、○ら(たち・など)
山本や佐藤、田中、石井ら
c○も○、○、○、○も
ピアノも作曲、歌、踊りも
d○に○、○、○
読売に朝日、毎日、産経
e○とか○、○、○など(という)
ウサギとかネズミ、イヌ、ウマなど
f○やら、○やら、○やらで
鳴くやら、わめくやら、ぐずるやらで