かな

かな

1真名と仮名・和字

a真名・・本来の文字
漢字を表意文字という本来の性質のまま国語の表記に適用したもので、「訓」を利用したもの。
(例)春山(はるやまの)霧惑在(きりにまどへる)鶯(うぐひすも)我益(われにまさりて)物(ものを)念(おもはめ)哉(や)(万葉集・巻10・1892)
b仮名・・仮の文字
漢字を表音文字として利用したもので、「音」を利用したもの。
(例)夜久毛多都(やくもたつ)伊豆(いづ)毛夜幣賀岐(もやへがき)都麻碁微爾(つまごみに)夜幣賀岐都久留(やへがきつくる)曽能夜幣賀岐袁(そのやへがきを)
古事記・上)
c和字(国字)・・日本製の漢字のこと
(例)峠(とうげ)・凩(こがらし)・凪(なぎ)・榊(さかき)・樫(かし)・鰯(いわし)・辻(つじ)
d宛字・・(例)時雨(しぐれ)・雪崩(なだれ)・一寸(ちょっと)・目出度い(めでた)・矢張(やは)り・滅多(めった)に

2万葉がな・ひらがな・かたかな

a万葉仮名(真仮名)
漢字をそのままの字形で、仮名として用いたもの。
音仮名・・漢字の音を利用したもの
訓仮名・・漢字の訓の発音を利用したもの
(例)潮(しほ)左為二(さゐに)五十等児乃(いらごの)島辺撈船荷(しまべこぐふねに)妹乗良六鹿(いものるらむか)荒島回乎(あらきしまみを)(万葉集・巻1・42)
宿(ね)金(かね)鶴(つる)鴨(かも)(万葉集・巻12・2991)
b戯れ書き・・謎めいて、遊技的な気分の感じられる書き方。
(例)馬声(い)蜂音(ぶ)石(せ)花蜘蛛(くも)荒(ある)鹿(か)(万葉集・巻12・2991)
八十一(くく)里(り)喚雞(つつ)(万葉集・巻13・3330)
cひらがな(女手)
漢字の草書体をさらに書き崩したものが、仮名専用の字体として固定したもの。主として男女の和歌の贈答や、簡単な手紙(消息)に用いられた。
d変体がな
多くの仮名の種類が明治33年の小学校令まで使われた。
e草のかな
草書体に近い字体
fかたかな
経文などの漢文を訓読する際、字間・行間などの狭い空白を利用して、訓やテニヲハを書き込むことから発達した。漢文直訳体の文章や字引きなどの音訓の注記に用いられ、明治以後も、法令・詔勅などに用いられた。現在では、外来語や特別な場合を示すものとして、補助的に使われている。
gヲコト点
漢文訓読の際に用いられた符号で、漢字の四隅につけたもので、博士家で行われた。助詞・助動詞のことをテニヲハと呼ぶのは、これらを一覧表にしたものが起源である。

3手習歌・五十音図

かなの練習(手習い)に用いられた歌
なにはづにさくやこのはな ふゆごもりいまをはるべとさくやこのはな
あさかやまかげさへみゆるやまのゐの あさきこころをわがもはなくに

「あめつち」の詞・・48字
あめつちほしそらやまかはみねたにくもきりむろこけひといぬうへすゑゆわさるおふせよえのエをなれゐて
田居(に)の歌(源為憲「口遊(くちずさみ)」970年)・・47字
たゐにいでなつむをぞきみめすとあさりおひゆくやましろのうちゑへるこらもはほせよえふねかけぬ
いろは歌・・47字。字母表(アルファベット)としての権威。「涅槃経」が起源とされる。
いろはにほへとちりぬるを わかよたれそつねならむ うゐのおくやまけふこえて 
あさきゆめみし ゑひもせず

五十音図・・濁音や拗音は示されない。