手紙文

おはようございます。以前、小論文の指導の一環で、同僚の講師と打ち合わせをして、手紙文を生徒に書かせてみようという授業を行ったことがあります。意外にも、手紙の形式がわからず、手紙がかけないという生徒が多いので、驚いた経験があります。携帯のメールでは、形式を無視して書くので、慣れていないのでしょうね。
 手紙文は、戦前はしっかりと教育されていたために、誰でも形式を踏まえて手紙文を書くことができました。しかし、戦後はあまりしっかりと手紙文の教育をしていないために、知識としては持っていても、実際に書くとなると苦手ということも多くなりました。ましてや近年は、メールなどの普及であまり手紙を書かなくなってきましたから、手紙文についての知識も曖昧になりつつあります。しかし、挨拶状や招待状やお礼状など、正式な手紙を書く機会もまだあると思います。そこで今回は、手紙の正式なルールについて確認しておきたいと思います。
 手紙の書き出しとしては、一般的には「拝啓」を使ったのち、時候を示す文章を添えてから、本文を書き始め、末尾は末文を添えてから、「敬具」で括ることが一般的です。ただし、親しい間柄では、書き出しを「前略」ではじめて時候の挨拶を省略することもできます。また、女性であれば、末尾を「かしこ」で結んでもよいわけです。
まったく面識のない相手にはじめて手紙を書くときには、「拝啓」のあとの時候の挨拶は省略して、「突然お手紙を差し上げます失礼をお許しください」「まだ一度もお目にかかっておりませんが、お手紙させていただきました」のように書いてから、手紙の本文を書くことが必要です。
 手紙を書く上での他の注意点としては、
  ○インクは黒か青のペンを使う
  ○相手の名前は行の下には書かない。下をあけてでも、次の行の最初に書く。
  ○自分自身や身内をを指すことばは、行の最初には書かない。やむをえないときには、右   によせて小さく書く。
  ○便箋一枚で用事が足りても、もう一枚添える。
  ○熟語や慣用句は行がまたがらないようにする。
などがあげられます。
 次に模範的な手紙の例を示してみます。


拝啓
盛夏の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。
さて、先日は、たくさんの梨をお送りくださいましてありがとうございました。早速、家族一同で、お送りくださいました梨の味を楽しみ、ふるさとのことが自然と思い出され、話がはずみました。毎年、お心遣いくださいまして恐縮に存じます。
末筆ながら、皆様のご健康とご活躍をお祈り申し上げます。
まずは、お礼まで。    敬具
  七月七日
岡田純快
岡田人篤様
    ご侍史
追伸 今月末に、兄がそちらへ伺う」とのこと、よろしくお願い申し上げます。