字余りについて

「字余りについて」
古代和歌の字余りの分析について、基本となる人物が二人います。一人は本居宣長、もう一人は佐竹昭広です。最近では、毛利正守、山口佳紀などの研究が有名です。今回は、本居宣長佐竹昭広の説を紹介します。
一、宣長法則
本居宣長は、字余りを起こすときには、句中に「あいうお」があるという法則を『字音仮字用格(じおんかなづかい)』の中で述べました。
みえずかもあらむ『万葉集
くものうえゆ『万葉集
二、佐竹第二法則
佐竹昭広は、「萬葉集短歌字余考」(『文学』昭和二十一年五月)の中で、本居宣長の法則の例外を分析した結果、もうひとつの法則を発見しました。それは、句中にヤ行音が含まれ、しかもその直前の音の尾母音がイ・エである場合、また句中のワ行音の直前に尾母音ウ・オが接する場合、その二つの場合には字余りが許容されるという法則です。
出でてゆかむ『古今集
立ち馴らすを野『後撰集