学者の姓名判断

古代中国での字源を大切にするという思想は、日本でも伝統的に継承されています。主に漢字の字源については、『大漢和辞典』(大修館書店)を筆頭として、『新字源』(角川書店)や『漢字源』(学研)のほかに、加藤常賢『漢字の起源』、藤堂明保『漢字語源辞典』、白川静『字通』などがあります。たとえば、次にあげる漢字を名前に持つ人は、どういうわけか統計的によくないとされていますが、字源もよくないことが多いものです。
「破・夜・寒・刀・牙・涙・霧・雨・雪・化・亡」
「幸・留・盛・直・善・豊・文・茂・流・角・猛・神・春・夏・秋・冬」
「悪・魔・矩」
「動物の名称・一部の植物の名称」
特に「幸」の文字は、男女ともにトラブルに巻き込まれやすいといわれ、女性の名前に「幸」がついていると、離婚率が高く、夫の事業の失敗や夫との死別に見舞われる人が多いとされています。特に次の名前が女性にあると、不幸になっているケースが多いと言われています(かつては女性の名前は「子」「枝」がついたものですが、変化してきました)。
「幸・正・光・司・愛・久・勝・節・京・和」
逆に、よい字源を持つものとしては、
「人(にんべん)」「心(りっしんべん)」「羊(ひつじへん)」「王(たまへん・おうへん)」「日(ひへん)」
「艸(くさかんむり)」
「顕・亮・彰・郎・達・貴・輝・喜・純・充・勇・友・富・真」
などがあげられます。
この発想は、印鑑でも採用されていて、一番印鑑の字体としてよいのは、象形文字に近い「篆書(てんしょ)」と呼ばれる書体で、次が「隷書(れいしょ)」であるといわれています。さらには、偏と旁から名前のすべてが構成されると割れるようにみえるのでよくないといわれています。
また、女性の名前には音のタブーというものがあります。以下に示してみると、
○「つ」のつく名前
○濁音・半濁音
となります。
国語学者金田一春彦氏は、「わが姓名判断」として、「私は姓名判断というものをほとんど信じないが、名前をみただけで縁起がよさそうだとか、恐ろしいことになりそうだとかいった予感を持つことがある」と述べ、歴史上の人物をあげています。以下、まとめてみると、次のようになります。
「名前の上につく字」
(吉)重(誠実)・宗(剛毅な名門)
平重盛畠山重忠・伊達正宗・徳川吉宗
(凶)勝(天寿をまっとうしない)
柴田勝家武田勝頼
「名前の下につく字」
(吉)記述なし
(凶)盛
平知盛和田義盛西郷隆盛