使役と動詞の自他

益岡隆志・田窪行則(1992)は、格関係と動詞の自他に注目して、次のように文型としてとらえている。

1ガ格+ニ格+ヲ格+動詞の使役形(他動詞からの使役)
※ガ格は使役の主体、ニ格は動きの主体を示す
太郎が弟に荷物を運ばせた。
私に食事代を払わせてください。
2ガ格+ニ・ヲ格+動詞の使役形(自動詞からの使役)
※ガ格は使役の主体、ニ・ヲ格は動きの主体を示す。
花子は長女に・を買物に行かせた。

参考文献
今泉忠義・宮地幸一(1950)「受身の表現』『現代国語法・四』有精堂
三上章(1953)『現代語法序説』くろしお出版
鈴木重幸(1972)『日本語文法・形態論』むぎ書房
青木伶子(1980)「使役」『国語学大辞典』東京堂出版
寺村秀夫(1982)『日本語のシンタクスと意味Ⅰ』くろしお出版
奥津敬一郎(1987)「使役と受身の表現」『国文法講座・6巻』明治書院
益岡隆志(1991a)「受動表現と主観性」『日本語のヴォイスと他動性』くろしお出版
益岡隆志(1991b)『モダリティの文法』くろしお出版
益岡隆志・田窪行則(1992)『基礎日本語文法−改訂版』くろしお出版
高見健一(1995)『機能的構文論による日英比較』くろしお出版
小池清治他(1997)『日本語学キーワード事典』朝倉書店