中国の仏教

中国の仏教

中国の古代思想の「儒教」「道教」に「仏教」を取り入れる形となり、「儒・仏・道」の三教合一が中国のポスト古代思想となった。その結果「儒教仏教」「道教仏教」が成立し、日本には「儒教仏教」が入ってきた。

Ⅰ漢訳仏典
鳩摩羅什(くまらじゅう)・・法華経の漢訳。語学の天才
玄奘(げんじょう)(三蔵法師)・・法相宗の開祖。玄奘以前の訳を旧訳(くやく)、以後の訳を新訳(しんやく)と呼ぶ。

Ⅱ中国での混乱
1
中国人・・この世界こそが大事、この世界で幸福を追求すべき。
仏教・・この世界は苦であるから解脱を目指す。
2
中国人・・年長者や政治的指導者への服従は道徳や政治の根本原則。
仏教・・親を捨てて出家し、現実政治を離れて修行することに価値を置く。
3
中国人・・乞食は最底辺の人々の行うもの
仏教・・最高の聖者が行うこと
4
仏教の経典が区別なくバラバラに入ってきて、中国では大混乱。

Ⅲ中国での解決策
1
仏教は哲学であり、思想であり、薬学や建築や美術、天文そのほかの実用知識だけと割り切り、現実政治は今まで通りの儒教で行う。
2
出家して現実社会と無関係になっては困るので、中国では僧侶を国家公務員にして、官僚組織に組み入れた(僧(そう)綱制(ごうせい))。結果的に仏教は費用がかかるので、リストラした結果衰退し、宋代以降は中国発祥の禅宗が生き残った。
3
どの教典が重要かを判定する「教相判釈(きょうそうはんじゃく)」を天台智邈が行って、経典のレベルを分けて学ぶことになった。「華厳経阿含経維摩経勝鬘経般若経法華経→涅槃経」。法華経華厳経をまず学習することにした。これを最澄は踏襲した。

禅宗の特徴
1
開祖はインド人の菩提(ぼだい)達磨(だるま)(ボーディダルマ)で、「面壁九年」「不立(ふりゅう)文字(もんじ)」が有名。
2
中国で生まれたもので、仏教の経典を自由に解釈し、戒律を無視し、自給自足した。インドや中国では肉は食べるが、不思議なことに日本では肉は禁止した。聖武天皇の肉食禁止令→精進料理・日本料理のベース
3
「労働も修行である」としたため、日本では武士に人気があった。
4
人里離れた山の中で生活する禅宗は、中国人の好きな老荘思想と通じるところがある。茶を広めたのも禅宗で、栄西は『喫茶養生記』を日本で書いて、中国から茶をもたらして普及させた。