『論語』の思い出

 こんばんは。今回は、『論語』について書きたいと思います。私が繰り返し読んだ古典といえば、『源氏物語』と『論語』があります。特に、『論語』は何度も繰り返して読みました。渋沢栄一の『論語と算盤』という名著があります。そして、渋沢栄一は『論語講義』という書物まで書いたことを知ったことがきっかけでした。さらには、大学一年生の頃の必修科目で、『論語』があり、加藤道理先生のご指導で、南宋朱熹の新注で読みました。大学の演習では、学問的な読み方なので、語句などにこだわりながら読むので、一年間で二〇頁ほどしか進みません。しかし、渋沢論語なら、人間学としての実践として読むので、早く読めました。『論語』は途中の、公冶長の箇所で挫折することが多いといいますが、実践の学として読めば、挫折しないで読むことができます。竹内均氏の解説で、三笠文庫から、渋沢栄一の抄出による『論語』が出版されていますから、読んでみてはいかがでしょうか。
 また、大学院の受験では、現代中国語か古典中国語(漢文)のどちらかを選択する必要があったために、古典中国語(漢文)を選択しました。過去問をみると、答案はすべて白文訓読で行い、全訳を施すものでした。そのときにも、『論語』を使って、白文訓読練習を行いました。単純に白文訓読するだけでは、本当に力は身につかないので、白文訓読の理論を扱っている本を二冊熟読しました。それは、山田勝美と山本未正いう学者の書いた『漢文入門』(駿台叢書)と、中野清という清の時代の文学研究者の書いた『中野式漢文なるほど上達法』(ライオン社)でした。どちらも、受験学習参考書として書かれたものですが、たいへん水準が高いので、大学院受験でも通用するくらいの理論が説明されていました。受験参考書は、実は多くのことを教えてくれることが多いので、興味のある方は読んでみてくださいね。