小説の考え方

 こんばんは。このところの殺人的(?)スケジュールも明日で一旦お盆休みに入ります。お盆でも、できるかぎりブログを更新するつもりです。

 今回は、「小説の考え方」を扱います。小説は、「ノベル」と坪内逍遥が訳したもので、古来の物語や草子よりも徹底した事実中心の態度を示し、井原西鶴からはじまるとされています。小説とは、作者の構想に基づきながら、虚構の人物と行動とを描くことによって、人生や社会の一断面を表現する散文体の物語です。
 まず、主人公を中心とする人物の整理、場面展開(時間の推移・回想シーン)といった設定の確認をし、次に、それぞれの登場人物の行動・発言・出来事などから、心情をつかむことが重要です。特に、読みながら気をつけたいのは、心情(特に変化・葛藤・悩み・感動)・心情を表す行動・しぐさ・セリフ(発言)・心の中のセリフ(内的独話)・情景描写などです。何げない情景描写の中にも、実は登場人物の心情が投影されていることも多いのです(例:空が曇った―登場人物の暗い気持ち)。
 小説では、心情をとらえる設問はよく出題されますが、その心情にいたるには、必ず、きっかけとなる原因・理由があり、その心情になったために起きる反応としての行動にも注意して解くとよいでしょう。小説は、作中人物の気持ちについて、読者が理解できるために必要な最小限の描写と説明しかしないものです。それは、人物の気持ちを言葉で完全に表現することは不可能だからです。したがって、書かれていることから推定できる範囲にとどめて想像することになます。