使役の三分類

青木伶子(1980)では、使役を次のように三分類で述べている。

1「させ手」の意志が「なし手」の意志に反して強い場合
○遊びたがる子供を風呂にはいらせる。
○わが岡のおかみに言ひて降らしめし雪のくだけしそこに散りけむ(萬葉集・104)
2「させ手」の意志が「なし手」の意志に反しない場合で許可の意味になる
○交替に休憩させる。
○君にも読ませてやる。
○この頃ばかりだに事なくうつし心にあらせ給へと念じ給ふ。(源氏物語・真木柱)
3「させ手」には積極的な意志がなく、「なし手」の行為を妨げない場合で、放任の意味が生ずる。
○幼児を外で遊ばせておく。
○何時までも寝かせておく。
○白散を・・風に吹きならさせて海に入れてえ飲まずなりぬる。(土佐日記
○この人をむなしく死なせてむ事のいみじく思さるるにそへて、・・。(源氏物語・夕顔)