2009-01-01から1年間の記事一覧
「古典のすすめ」 古典はなぜすぐれているのでしょうか。それは、エネルギーがあるからです。エネルギーがあるから現代まで残っているのではないでしょうか。精神を磨く上でもたいへん役に立ちます。たとえば、碩学と呼ばれた安岡正篤氏は、次のような読書を…
「文字数について」 一文は何文字までがよいのかについては、議論のあるところです。一般的に、一文は六十字を超えると、多すぎるといわれています。志賀直哉の文章は、一文が二十から三十文字なので、心地よいリズムで読みやすいといわれています。 では、…
大学での学問研究の傾向が、入試問題にも影響を与えています。その例として文学部の近代・現代文学の専任の教員の数が年々、少なくなっていることがあげられます。そうすると、通常、文学部の現代文の問題は近代・現代文学の教員がつくりますが、他の学部に…
(センター試験国語の特徴) センタ―試験は国立だけではなく、近年では、私立大学の多くが参加するようになりました。でも、意外と特殊な試験なのです。ですから、以下に特徴をまとめておきますので、参考にしてください。〇配点が大きい 設問の配点が、一問に…
おはようございます。今回は、「元禄の三文豪(元禄の三大人)」を扱います。 近世前期の元禄時代には、三人の大文豪が出現した時代です。しかも、年齢的にも近いものがあります。人材は、かたまって出現する時期があります。日本では元禄時代がまさにそうで…
おはようございます。 「一つの技芸を究めた達人は、自然の呼吸やすばらしい人生哲学の完成者が多い」と、安岡(やすおか)正篤(まさひろ)氏は述べました。私も、達人の筆跡などをみていると、そのことを痛感します。決して上手ではないけれども、雄渾な文字な…
こんばんは。先ほど、NHKの番組で「さだまさし」がバイオリンを弾きながら、「南こうせつ」と「神田川」を歌っていたのをみて、私がバイオリンを習っていたことを思い出しました。今回は、そのときバイオリンから学んだことを書きます。 私は、バイオリンの…
こんにちは。今日は、夕方から仕事なので、今更新しています。先日、時枝誠記の話題がでたので、時枝文法について書いてみたいと思います。時枝誠記(ときえだもとき)氏は、言語過程説で有名な人物です。入子型(いれこがた)という図式で説明する手法は、…
こんばんは。今回は、「ヘボン式ローマ字」について書きたいと思います。明治時代に日本に来日した医師の「ヘボン」は日本語の発音を表記するのに、発音重視で表記しました。それが、「ヘボン式ローマ字」です。訓令式は発音重視ではないので、一部発音と一…
前回のブログで、古文の参考書の世界では、旧東京教育大学(小西甚一・森野宗明・土屋博映)と國學院大學(桑原岩雄・小杉商一・千明守・関谷浩)の流れがあることを書きました。 では、東京大学出身者の古文の学習参考書はどうなのかということを書いてみま…
こんばんは。今回は、戦後の古文の学習参考書の流れを、大学別に示してみます。 まず思い浮かぶのは、小西甚一『古文研究法』(洛陽社)、森野宗明『古文標準問題精講』(旺文社)、土屋博映『土屋の古文講義』(代々木ライブラリー)の三冊です。古文の学習…
今回は、日本史の名講師の「安藤達朗と管野祐孝」を紹介します。予備校講師もさまざまな方がいます。実績が抜群で引き抜かれた人物や、学生運動をやってしまったために、予備校の現場にきた人物などがいます。日本史の予備校講師だった「安藤達郎(あんどう…
おはようございます。今回は、小論文のための勉強方法についてまとめてみたいと思います。 ○添削を三回は受ける(ただし、一人の講師に添削をお願いすること。 ○入試の評論文の勉強をすること。 ○幅広く、資料などの情報をあつめること。 ○現代社会に関心を…
書店の学習参考書のコーナーをみると、小論文の参考書としては樋口裕一氏の著作がたくさん置かれています。試しに私も読んでみました。特徴としては、知識で書く小論文という印象を受けました。また、意見をパターン分けして書いているという印象を受けまし…
おはようございます。今回から、小論文について書いてみます。小論文と現代文との関係は、密接です。小論文入試を受けるなら、添削は欠かせないものです。しかし、同じ答案を何人もの教師に添削してもらうのはよくありません。視点が教師によって異なるから…
おはようございます。最近の大学入試問題からは、「現代語の文法問題」は減りました。その理由としては、日本語教育という新しい枠組みで現代語を考えるのが主流になったためです。今までの現代語の文法は、古典解釈のための文法を無理やり現代語にあてはめ…
こんにちは。以前ブログで紹介した高田瑞穂の『新釈現代文』が「ちくま学芸文庫」から復刊されましたね。高田瑞穂の顔写真と弟子にあたる石原千秋氏の解説がついていました。いっそうこの本の価値がわかるように施されていました。最近は、山崎貞の『新々英…
こんばんは。今回は、融合文について述べてみたいと思います。現代文の文章の中に、古典(古文・漢文)が引用されている文章(現古融合文)は、古典と現代文とが密接にむすびついており、現代文の箇所が古典の箇所の解説になっているのが普通なので、古典の…
○近代文語文の考え方 近代文語文には、近代に書かれた古文調な雅文的な文語文と漢文書き下し的な文語文とがあります。しかし、入試に現代文として出題されるものは、漢文書き下し的な文語文です。 漢文書き下し的な文語文の特徴として、第一に、文体は漢文の…
こんばんは。このところの殺人的(?)スケジュールも明日で一旦お盆休みに入ります。お盆でも、できるかぎりブログを更新するつもりです。 今回は、「小説の考え方」を扱います。小説は、「ノベル」と坪内逍遥が訳したもので、古来の物語や草子よりも徹底し…
こんばんは。今回は、随筆を扱います。随筆は、エッセイ(随筆よりもやや思索的)などとも呼ばれ、見聞・感想などを気の向くまま筆にまかせて自由に書いたものです。そのため、評論的な論理の流れと小説的な心情の推移が融合しているという性質があります。…
こんばんは。今回から、以前、講演会用に作成した資料をもとに、現代文の考え方を掲載したいと思います。○評論の考え方 評論は、物事の価値・よしあしなどを批評して、自分の意見を述べた文章です。評論では、冒頭部分は話題の提示をすることが多く、重要に…
おはようございます。今回は、近現代の日本文学史について書きたいと思います。 近現代の日本文学史は、出題される大学と出題されない大学があり、現在では出題されない大学が一般的です。なぜかというと、近代文学では「文学史解体」という考え方が主流であ…
こんばんは。今回は、漢字の参考書について紹介します。漢字の参考書も、最近ではたくさん出版されていますね。私が考えている漢字の問題集としては、 ○ジャンル別の編集で読解の役に立つこと。 ○難しい、間違えやすい漢字には意味を添えること。 ○頻出であ…
おはようございます。今回は、近代文語文について考えてみます。現代文の中でも、明治期から昭和初期にかけて書かれた近代文語文と呼ばれるものがあります。この近代文語文には、「漢文系統」と「擬古文系統」のものとがあります。入試の場合には、漢文訓読…
こんばんは。今回は、和田秀樹氏の分類には入っていませんが、独自の視点で現代文をとらえている人物を四人紹介してみます。○霜栄(駿河台予備校講師)は、本文に対する根本的な読解力を教えてくれます。 ○岡井光義(駿河台予備校講師)は、やさしく現代文の…
おはようございます。前回、精神科医で受験技術研究家の和田秀樹氏の三分類、 ○Z会・田村系 ○河合・船口系 ○出口系 を紹介しました。今回は、この三分類について考えてみます。 「Z会・田村系」は、「堀木博礼・田村秀行」の現代文のことです。堀木博礼の…
こんにちは。岩手県から帰ってきました。また、今日から更新していきます。よろしくお願いいたします。 今回は、予備校の出版部の方針というものについて、書いてみることにします。予備校によって、実践問題集の出版物にある程度の違いがあることは、よく知…
こんにちは。今晩から、岩手県にセンター・私立・国立大学受験の国語の講義で出張です。そのため、このブログは、来週の水曜日(7月29日)までお休みさせていただきます。 今回は、テクスト分析について考えてみます。かつての近代文学は、作品・作家論でし…
現代文の背景知識に重点を置いた学習参考書、すなわち、現代文重要語の本を活用することが、現在では一般的になりました。そのさきがけとなったのは、山本康裕編『現代語の演習』(中央図書)でした。この本は好評で、さらに整理、発展して、桐原書店が『現…